帰化について㊴(2026年現在)

帰化について

色々なビザ(在留資格)は、外国人の方がそのままの国籍で日本で活動するために必要なものですが、帰化をしますと日本人になる(=日本国籍を取得する)ことになります。
尚、よく法律用語で「要件」という言葉を使いますが、基本的に「条件」のことなので、このブログでは一般的な「条件」という言葉を使います。
ここでは下記の項目に分けて、帰化とはどういうことなのか、帰化するためにはどのような条件があるのかなどについて、詳しく説明していきます。

  • 帰化とは
  • 帰化のメリット
  • 帰化するための条件(普通帰化・簡易帰化)

まず最初に帰化とは何か、からご説明します。

<帰化とは>

帰化とは、日本の国籍を取得すること、つまり日本人になることです。
日本は2つの国籍を持つこと(重国籍)を認めていませんので、元々持っている母国の国籍を無くすことが必要になります。つまり外国籍を無くし日本国籍のみを持つことが「日本人になる」ということです。
たまに勘違いされることがありますが、日本人と結婚しても日本国籍は取得できません。それは「日本人の配偶者等」というビザを持っている外国人の状態のままです。日本国籍を取得する(日本人になる)ためにはあくまで帰化をすることが必要です。


次に帰化するメリットについてご説明します。

<帰化のメリット>

日本国籍の取得によるメリットと考えられるものには、以下があります。

  1. 日本のパスポートを取得できる
    • 毎年、ヘンリー&パートナーズという会社がビザなしで渡航できる国の多さを「パスポートランキング」として発表していますが、2026年現在、日本のパスポートは世界2位となっています。
  2. 就労制限がない
    • 日本人になるわけですから、どのような仕事もできます。
      一般的な仕事という意味では「永住者」や「日本人の配偶者等」といったビザを持っている方も同じですが、帰化した場合は、国家公務員にもなることができます。
  3. 選挙に行くことが出来る
    • 日本国民の権利として、選挙にいって国会議員などを選ぶことが出来ます。また、立候補することも可能になります。
  4. 退去強制がない
    • 仮に何か犯罪等を犯してしまっても、通常のビザのように、在留資格取消⇒日本からの退去強制、といった手続きがありません。
  5. 戸籍が作られる
    • 日本人として、戸籍が作られます。戸籍とは、その人の公式な履歴書(ストーリー)のようなもので、その人が死ぬまでの家族上のイベント(結婚や出産など)が記録されるものです。

以上が帰化するメリットのご説明です。


ここからは帰化するための条件についてご説明いたします。

<帰化するための条件>

帰化するためには大きく分けて7つの条件が必要になります。そして、一般的な外国人の方の条件(普通帰化)と、一定の場合に緩和される(ゆるくなる)条件(簡易帰化)の2種類があります。
まずは7つの条件をご説明し、そのあとに普通帰化の場合と簡易帰化の場合の具体的な条件をご説明します。

  1. 居住条件(何年日本に住んでいなければならないか)
  2. 生計条件(日本で生活していくための収入があるか)
  3. 素行条件(悪いことをしていないか・税金や年金などをきちんと払っているか)
  4. 能力条件(18歳以上であり、外国人の母国の法律でも成人していること)
  5. 思想条件(暴力で政府を攻撃したりするような考えを持っていないこと)
  6. 国籍条件(日本国籍を取れた場合、母国の国籍から離脱すること)
  7. 日本語条件(日本で日常生活できるために、十分な会話・読み書きができること)

以上が7つの条件です。
まずは、一般的な外国人の人が当てはまる「普通帰化」の場合にこの7つの条件が具体的にどのような内容になるのか確認していきます。

[普通帰化の場合]

  1. 居住条件について
    • まず日本に連続して5年住んでいなければなりません。この「連続」というのは、1日も日本から離れてはいけないということではなく、1回の出国につき90日以内、1年合計で100日以内の出国であれば「連続」は継続中とみなされますのでセーフです。但し、日本出国する際は必ず再入国申請をしてから出国する必要があります。もし再入国申請をせずに出国してしまったら、日本に住んでいた期間はリセットされますので、また一からやり直しとなります。
      また、日本で住んでいる5年について、その内3年は就労ビザをもって働いていなければなりません。この場合の「就労ビザ」ですが、技術・人文知識・国際業務、経営管理、高度専門職、技能、特定技能2号などが含まれます。技能実習や特定技能1号で働いた期間は含まれませんので注意してください。(*ご自身が持っている就労ビザの具体的な条件については、こちらの[技術・人文知識・国際業務][「経営管理」ビザ]の記事で詳しく解説しています。)
      身分としては、正社員はもちろん、契約社員や派遣社員の場合でも大丈夫です。尚、あくまで「就労ビザ」で働く必要がありますので、家族滞在や留学ビザの方が資格外活動許可を得てアルバイトをする期間は含まれません。
      この「5年日本に住んでいて、その内3年働いていること」についてはもう一つのパターンがあり、それは「10年日本に住んでいて、その内1年働いていること」です。この場合もこれまで説明してきた通り、1回90日以上、1年合計で100日以上の出国が無く、10年日本に住んでいて、その内「就労ビザ」で1年働いていればOKとなります。
      「5年日本に住んでいて、その内3年働いていること」「10年日本に住んでいて、その内1年働いていること」共通ですが、就労ビザで働いている期間にはカウントされない技能実習・特定技能1号・アルバイトでの期間も、日本に住んでいる期間にはもちろんカウントされます。よって、例えば特定技能1号で2年日本にいて、その後特定技能2号で3年働いた場合、「5年日本に住んでいて、その内3年働いていること」の条件はクリアすることになります。
      2026年3月現在、この「5年日本に住んでいて」の条件を10年に延長しようという動きがあります。法改正をせずに法務省の審査要領を変更することによって延長しようとしているとの情報がありますので何とも動きが水面下となりはっきりしませんが、現時点で法務局に問い合わせをしたところ、まだ法務省からは何も指示が来ていないので、現状は今まで通りの審査になっている、との回答を得ました。この部分については、引き続き確認が必要です。この「5年日本に住んでいて、その内3年働いていること」についてはもう一つのパターンがあり、それは「10年日本に住んでいて、その内1年働いていること」です。この場合もこれまで説明してきた通り、1回90日以上、1年合計で100日以上の出国が無く、10年日本に住んでいて、その内「就労ビザ」で1年働いていればOKとなります。
  2. 生計条件について
    • 日本で日本人として生活していける収入が必要となります。申請者本人の収入である必要はありませんが、お財布を一つにしている家族で、生活していける収入があるか審査されます。具体的には年収300万円程度は必要で、扶養家族が増えるにつれて50万~70万円程度プラスとなります。一番大切なのは、「安定」した収入の「範囲内」で、きちんと生活していけるか、という部分なので、転職を繰り返していて年収が安定しない場合や、仮に年収1,000万円でも、多額の借金があったりすると、審査は厳しくなってしまいます。貯金もあるに越したことはありませんが、いくら以上なければいけないという事は無く、一番重要なのは、安定した収入の範囲内で堅実に生活できているか、という部分です。
  3. 素行条件について
    • 法律には「素行が善良であること」と書いてあり、何のことを言っているのかとても曖昧ですが、具体的には、法律やルール違反をしていないか、年金をしっかり払っているか、健康保険料をしっかり払っているか、税金をしっかり払っているか、という内容になります。
      • 法律やルール違反をしていないか
        犯罪を犯して罰金を払ったりしたことがある人は、審査がとても厳しくなりますので、犯罪の内容にもよりますが、罰金を払ってから少なくとも5年以上、まじめに何もなく過ごす実績が必要です。これが懲役となりますともっと厳しく、刑を終えてから少なくとも10~15年の実績が必要です。但し、殺人、麻薬、売春関係などの重大犯罪を犯してしまった場合、帰化は不可能となります。
        その他、気を付けなければいけないのが「交通違反」です。最近はこの交通違反に関する審査が大変厳しくなってきており、直近2年間で無違反、過去5年間で違反は2件以内程度が必要になってきます。この「違反」というのは、いわゆる反則金がかかってくる違反(青きっぷ)のことで、罰金がかかる違反(赤きっぷ)になりますと、罰金の支払いから5年は待つ必要があります。
      • 年金や健康保険料を払っているか
        国民年金や厚生年金をきちんと払っている必要があります。会社員の方は厚生年金が基本的に給料から天引きになっていると思いますので大丈夫かと思いますが、例えば転職をした場合、新しい会社で働き始めるまでの期間、国民年金に加入して支払いをしておく必要があります。また、個人事業主の方などで国民年金に加入している場合は、毎月支払う必要がありますので注意が必要です。もし未納があるようでしたら、2年前までの分はさかのぼって支払うことができますので、必ず支払うようにしましょう。未納の期間が学生で、支払い猶予となっている場合は10年前までの分はさかのぼって支払うことができますので、こちらの場合も同様に支払うようにしてください。以前は申請から2年分程度の支払い確認でしたが、審査が厳しくなってきておりますので、さかのぼって払える分は全て払っておくことが重要です。
        健康保険料についても同様です。給料天引きとなっていない場合は支払いの漏れがないように気を付けてください。尚、これらの支払い状況については、帰化申請人本人はもちろん、同居の親族や配偶者の方も確認対象になり、仮に申請人本人は問題なくても、同居の親族や配偶者の方に問題がある場合でも、帰化申請に悪影響となりますので注意が必要です。
      • 税金について
        会社員の方は、所得税や住民税などの税金は給料から天引き(特別徴収)となりますので基本的には問題ありませんが、まれに会社員の方でも住民税が天引きとなっておらず、自分で支払うパターン(普通徴収といいます)になっている方がいますので注意が必要です。もし過去に未納がある場合はすぐに全て支払うようにしてください。尚、これらの支払い状況については、帰化申請人本人はもちろん、同居の親族や配偶者の方も確認対象になり、仮に申請人本人は問題なくても、同居の親族や配偶者の方に問題がある場合でも、帰化申請に悪影響となりますので注意が必要です。
        その他、同居されている親族の方などを扶養に入れている場合、その扶養されている方がアルバイトなどで稼ぎすぎて扶養から外れてしまっている場合、税金の修正申告が必要です。また、海外の親族を扶養に入れている場合も、実際の送金記録などが審査されますので、注意してください。現状、30歳~69歳の本国の親族を扶養する場合、年間38万円以上の送金実績が必要です。
  4. 能力条件について
    • 申請人は18歳以上でなければいけません。また、申請人の母国でも成人年齢になっている必要がありますので、例えばアメリカなどは、州によって成人年齢が違いますので、注意してください。
  5. 思想条件について
    • テロリストやギャングなどで、日本政府を暴力で破壊しようとすることを考えていたり、そのような事を考えている団体に所属していないことが条件になります。
  6. 国籍条件について
    • 日本は重国籍を認めていませんので、帰化申請が許可される条件として、母国の国籍を離脱・放棄することが必要です。
      ただし、国籍の離脱・放棄を認めない国(アルゼンチンなど)の場合は、「国籍離脱・放棄宣言書」という書面を提出し、もし国籍離脱・放棄が可能となったら直ちに離脱・放棄します、ということを約束すれば、帰化が許可される場合もあります。
  7. 日本語条件について
    • 帰化が許可された場合、日本人として生きていくわけですから、ある程度の日本語ができるかどうかのチェックがあります。チェックの方法は申請する法務局によりまちまちで、初回の相談時にテストをされたり、その後の面接時にテストをされたりします。そのテストもペーパーテストの場合もあれば、本を読まされて、その内容を質問される、といったパターンもあります。全体的に必要とされるレベルは小学校3年生程度で、日本語能力試験にしますとN4~N3レベルとなります。また、初回相談でのやりとりで、審査官が「この人は日本語問題ないな」と思った場合、テスト自体が無いケースもあります。
    • ペーパーテストの内容は下記のようなものがあるようです。
      • 文章を声を出して読む
      • 文章中のカタカナをひらがな変えて書く
      • ひらがなをカタカナに変えて書く
      • 文章の内容についての質問の答えを書く
      • 「あなたの国と日本の違いを書いて下さい」といったテーマについて自由に記入する
    • 難しい漢字の読み書きなどの問題は出ませんが、カタカナ、ひらがなはしっかり対応できる必要があります。日本語ができない方の場合、この条件のクリアには時間がかかりますので、しっかり準備することが必要です。

以上が、一般的な外国人の方が帰化申請(普通帰化)する為の7つの条件です。


ここからは、条件が緩和される場合(簡易帰化)のご説明をします。

[簡易帰化の場合]

一般的ではない、ある特定の状況にある外国人の方は、各条件が緩和される場合があります。
ここからは、簡易帰化について、どのような状況にある方の場合に、どの条件がどう緩和されるかについて具体的に説明していきます。

<日本人だった親が、外国籍を取得した後に生まれた子>
上記1の居住条件が緩和され、3年以上日本に住んでいればOKになります。

<日本で生まれた人>
上記1の居住条件が緩和され、3年以上日本に住んでいればOKになります。

<日本で生まれ、実の父親または母親も日本で生まれている人>
上記1の居住条件が緩和され、「〇年以上日本に住んでいれば」という条件は無くなります。

<日本人と結婚し、現在日本に住んでいる人>
上記1の居住条件が緩和され、3年以上日本に住んでいればOKになります。また上記4の能力条件もなくなります。

<日本人と結婚し、3年以上たっている人>
上記1の居住条件が緩和され、1年以上日本に住んでいればOKになります。また上記4の能力条件もなくなります。(現在はまだ日本人の配偶者等(配偶者ビザ)の状態で、これから帰化を検討されている方は、まずはこちらの緩和条件に当てはまるか[国際結婚のビザ・在留資格(日本人の配偶者等)]の記事もご確認ください。)

<日本人の実子で日本国籍を選ばなかった人>
上記1の居住条件が緩和され、日本に住所があればOKです。また、上記2の生計条件、上記4の能力条件もなくなりますが、日本で生活していかなければなりませんので、上記2の生計条件については、親についてチェックされることになります。

<日本に帰化した外国人の子>
上記1の居住条件が緩和され、日本に住所があればOKです。また、上記2の生計条件、上記4の能力条件もなくなりますが、日本で生活していかなければなりませんので、上記2の生計条件については、親についてチェックされることになります。

<日本人の養子(縁組時に本国の法律で未成年だった場合に限る)>
上記1の居住条件が緩和され、1年日本に住んでいればOKになります。また、上記2の生計条件、上記4の能力条件もなくなりますが、日本で生活していかなければなりませんので、上記2の生計条件については、親についてチェックされることになります。

<外国籍に変更した元日本人>
上記1の居住条件が緩和され、日本に住所があればOKです。また、上記2の生計条件、上記4の能力条件もなくなりますが、日本で生活していかなければなりませんので、上記2の生計条件については、申請人本人に生活力が無い場合、親や親族などについてチェックされることになります。

<日本で生まれたが国籍が無い人>
例えば外国人同士の親から日本で生まれた子で、なんらかの理由で国籍を持たない人があてはまります。上記1の居住条件が緩和され、3年日本に住んでいればOKになります。また、上記2の生計条件、上記4の能力条件もなくなりますが、日本で生活していかなければなりませんので、上記2の生計条件については、親についてチェックされることになります。

以上が条件が緩和される場合(簡易帰化)のご説明です。

日本に長く住むためのもう一つの選択肢として『永住権』があります。『帰化』とどちらがご自分に合っているか迷う方は、こちらの[永住者の在留資格]の記事もチェックしてみてください。

2026年3月27日に法務大臣より帰化の審査基準を厳格化する方針の発表がありました。帰化の審査基準厳格化(2026年3月27日発表)の記事もあわせてご確認ください。


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