夫婦関係でお悩みの方へ。別居中の配偶者ビザ更新のポイント-83

別居中の「日本人の配偶者等」ビザ更新について

色々なビザ(在留資格)は、外国人の方がそれぞれ決められた範囲で日本で活動するために必要なものですが、日本人と結婚して暮らすための「日本人の配偶者等」というビザは、夫婦が同居してお互いに協力し合って生活していることが許可の大前提となります。(「日本人の配偶者等」の在留資格については『国際結婚のビザ・在留資格(日本人の配偶者等)』の記事で詳しくご説明しています)
しかし、長い夫婦生活の中では、色々な理由で別居状態になってしまったり、離婚調停(裁判所での話し合い)を経験したりと、厳しい状況になる時期もあるでしょう。

このブログでは、夫婦関係の修復を目指して別居中のままビザ更新に臨む場合の考え方と、「夫婦としてのつながり」を示すための具体的な資料、そして申請した後に書類を追加提出したくなったときの実務上の正しい手順についてなど、以下の5つの項目で説明していきます。(また、ビザ更新については『在留期間更新許可申請』の記事で詳しくご説明しています)

  • 別居中の配偶者ビザ更新における審査の視点
  • 「夫婦の実態」を証明できる重要資料
  • 申請した後に「資料を追加したい」と思ったときの正しい手順
  • 資料を追加提出する際の注意点
  • まとめ

配偶者ビザ更新の審査がどのような考えで進められるか、別居中であることはどう判断されるかを知っておくことはとても重要です。まずは以下でそれをご説明します。

<別居中の配偶者ビザ更新における審査の視点>

入管の審査において、夫婦の「同居」は極めて重要な条件です。特別な理由(単身赴任や親の介護など)がないまま別居していると、それだけで「実態のある婚姻生活が破綻している」とみなされ、ビザの更新が不許可になるリスクが高まります。
しかし、例えば離婚調停が行われたものの不成立に終わり、申請人である外国人配偶者側は、なんとか関係を修復して再び妻子と一緒に暮らしたいと強く望んでいる、といったケースはどうでしょうか。
このような場合、現時点で別居しているという事実だけで即座に不許可になるわけではありません。大切なのは、「婚姻が完全に破綻しているわけではなく、関係修復に向けた具体的な努力や、夫婦としての経済的・精神的な交流が現在も続いていること」を、客観的な資料を通して入管にしっかりと説明することです。


では、夫婦の関係性を証明する資料はどういうものが有用なのでしょうか。以下でそれをご説明します。

<「夫婦の実態」を証明できる重要資料>

関係修復中であることをアピールする際、お子様との面会写真は大切ですが、それだけでは「親としての交流」であって「夫婦としての交流」の証明としては弱い場合があります。法律上の夫婦として、今も協力関係にあることを疎明(証明)するために、以下の資料をあわせて提出することが非常に効果的です。

  • 📌生活費(婚姻費用)の送金記録
    民法上、夫婦には「お互いの生活を助け合う義務(扶養義務)」があります。別居していても、毎月決まった生活費や子供の養育費を銀行振込で渡している記録(通帳のコピーや振込明細)は、「夫婦としての経済的な分担が継続していること」を示す極めて強力な客観的資料になります。手渡しだと証明が難しいため、必ず記録が残る形で行うことが重要です。
  • 📌日常的な連絡のやり取り(LINEやメール)
    夫婦間、あるいはお子様のことに関する日常的な連絡のスクリーンショットです。「今週の土曜日に娘を迎えに行くね」「今日の学校の行事どうだった?」といった、家族としての機能が失われていないことが分かるやり取りを、近の数ヶ月間からバランスよく(あるいは継続していることが分かるように)複数枚抜粋して数件抜粋して提出します。感情的な言い争いの画面ではなく、事務的であっても「連絡を取り合っている事実」を見せることがポイントです。
  • 📌学校行事や家族イベントへの参加記録
    お子様の授業参観、運動会、お誕生日会などに揃って参加した際のお知らせのお手紙やスナップ写真です。別居中であっても、家族の大切な節目にはきちんと双方が関わっているという実績になります。
  • 📌双方の「関係修復への意思」が分かる書面
    もし、別居中の日本人配偶者側も関係修復に前向きである(あるいは少なくともビザ更新に反対はしていない)場合は、日本人配偶者側から一言、「現在は冷却期間として別居していますが、将来的な同居に向けて話し合いを続けています」といった内容の短い手紙や上申書を添えてもらえると、審査の通過率は格段に上がります。

申請をよりよく進めるために、提出したい追加資料ができた場合はどうすればよいでしょうか。以下では、そのことについてご説明します。

<申請した後に「資料を追加したい」と思ったときの正しい手順>

上記のような生活費の振込明細やお子様との写真について、ビザの更新書類を窓口で提出した後に、「やはり、先週末の明細も追加で提出しておけばよかった」と気づくことがあるかもしれません。入管から「追加資料提出通知書」が届いていなくても、自発的に書類を追加で出すことは可能です。
その際、わざわざもう一度、入管の窓口まで行って、専用のポストに直接投函する必要はありません。追加の資料は「郵送」で提出することが可能です。
ただし、毎日何千件もの郵便物が届く入管において、ご自身の書類を正しく担当の審査官に確実に届けるためには、封筒や送付状に以下の情報を絶対に明記する必要があります。

  • 📝申請受付番号(申請した際に渡される受付票に印字された番号)
  • 📝申請した日付
  • 📝申請人の氏名と生年月日

これらが抜けていると、誰のどの申請に対する追加資料なのかが入管側で特定できず、審査に反映されない恐れがあります。書類を送る際は、封筒の表に赤字で「追加資料在中(申請番号:〇〇〇〇)」と書き、中にも簡単な送付状(誰宛ての何の資料かを記した用紙)を一枚添えて郵送するのが、実務上の大切です。


また、さらに注意すべき点があるので以下でそれをご説明します。

<資料を追加提出する際の注意点>

写真や送金明細を後から追加送付する際、少しでも状況を良く見せようと、過去のものを何十枚もまとめて送る方がいらっしゃいますが、これはあまりお勧めできません。
審査官が見たいのは、「今も関係が継続しているか」という現在進行形の実態です。
写真であれば、撮影された日付がはっきりと分かる直近のものを数枚厳選し、裏面や余白に「2026年6月〇日、〇〇公園にて娘と面会」と簡単な説明書きを添えます。
生活費の明細であれば、該当の振込日と金額の部分に蛍光ペンなどで印をつけ、パッと見て「毎月〇万円を送金している」とすぐ分かるように整理して送ると、審査官にとって非常に分かりやすく心証の良い資料になります。


以上の内容を踏まえて、この記事でお伝えしたいことをまとめます。

<まとめ>

日本人配偶者との関係が不安定な時期にビザの更新が重なると、「このまま日本にいられなくなってしまうのではないか」という不安がつのるかと思います。
しかし、焦って行動するのではなく、現在の別居に至った経緯を誤魔化さずに誠実に伝え、生活費の支弁や面会といった「夫婦としての実態」を正しい手順で入管に届けることがとても大切になります。


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