高度人材ポイントを使った永住申請中の転職について
キャリアアップや労働環境の改善を目指して転職することは、外国人のビジネスパーソンにとって珍しいことではありません。しかし、「ちょうど日本の永住権を申請している最中に、より良い企業から内定が出た」という場合、そのまま転職してしまって審査に悪影響はないのかと不安になられる方は非常に多くいらっしゃいます。
今回は、「高度人材ポイント(70 or 80点以上)」を使って永住許可申請をしている最中に転職する場合、審査にどのような影響があるのか、また少しでもプラスの評価を引き出すための実務上のポイントについて以下の4つの項目で詳しく解説します。
- 永住申請中の転職が「不利になる」と言われる理由
- 収入が減っても、日本企業への転職はプラスの評価になるか
- 申請中に転職する場合の注意点
- まとめ
そもそもなぜ永住申請中の転職はよくないとされているのでしょうか。まずは、そのことについてご説明します。
<永住申請中の転職が「不利になる」と言われる理由>
永住審査において、入管が非常に重視するポイントの一つが「日本で将来にわたって安定した生活を送ることができるか(生計の安定性と継続性)」です。(永住許可申請については『「永住者」の在留資格(2026年最新)』、『【2026年7月26日報道】永住許可の審査がさらに厳格化?どうなる?年収・年金・日本語ルール』の記事で詳しくご説明しております)
永住申請の最中に転職をすると、一般的に審査が慎重になる(不利になることがある)と言われるのは、職場が変わった直後だと「新しい職場の環境に馴染めるか」「試用期間中に契約が終了してしまわないか」といった、将来の安定性に対する疑念がどうしても生じやすくなるためです。決して「転職=即不許可」というわけではありませんが、審査に与える不安要素をどう払拭するかが重要になってきます。
反対に、転職がよい方向に働くことはないのでしょうか。以下でそのことについてご説明します。
<収入が減っても、日本企業への転職はプラスの評価になるか>
例えば、外資系企業から日本の企業へ転職することで、これまでの給与より少し収入が減少するケースもあります。しかし、転職後も引き続き「高度人材ポイントが80点以上」を維持できる見込みがあれば、収入の減少だけで直ちに致命的なマイナス評価になることはありません。
日本企業は外資系企業と比べ、一般的には雇用に対する安定性が高いので、そのあたりは審査において有利に働くかもしれません。
また、転職先の企業について以下のような要素があれば、それをアピールすることで審査上プラスに働かせることは可能です。
- 👍転職先企業の規模が大きく、経営が非常に安定している
- 👍日本で腰を据えて長期的にキャリアを築くための前向きな転職である
- 👍将来的な役職への昇進や、業務量の安定性が高い
「ただ仕事を辞めて別の会社に移った」と見せるのではなく、「日本の社会や企業により長く貢献するため、より安定した基盤へのステップアップである」ということを論理的に説明できれば、審査官の心証を大きく改善することができます。
では、永住申請中に転職する場合にはどのようなことに気を付けなければならないでしょうか。以下でご説明します。
<申請中に転職する場合の注意点>
永住申請中に転職を行う場合、実務上忘れてはならない手続きが3つあります。
- 入管への自主的な状況報告と資料の提出
- ビザの「整合性」と「手続き」の確認
- 高度人材ポイントの再計算と立証
以下で詳しくご説明します。
📝1.入管への自主的な状況報告と資料の提出
転職したことを入管に黙ったまま審査結果を待つのはNGです。転職したら速やかに、新しい会社での雇用契約書や企業の概要資料、そして「なぜこのタイミングで転職したのか」「いかに生計が安定しているか」を説明する理由書を作成し、入管へ追加提出してください。
🪪2.ビザの「整合性」と「手続き」の確認
一般的な「技術・人文知識・国際業務」のビザであれば転職から14日以内に「所属機関の変更届」を出せば済みますが、「高度専門職1号」のビザは、在留資格自体が特定の会社(現在の勤務先)と紐づいているという特別な注意点があります。そのため、永住申請中であっても、転職先で働き始めるためには事前に「高度専門職の在留資格変更許可申請」を別途行い、新しい会社への許可を得ておく必要があります。(高度専門職1号、高度専門職2号の在留資格については、『就労ビザ【高度専門職1号】』、『就労ビザ【高度専門職2号】』の記事でそれぞれくわしくご説明しています)
🧮3.高度人材ポイントの再計算と立証
転職に伴って年収などが変わるため、新しい勤務先の条件でポイント計算表を作成し直し、70 or 80点以上を確実に維持できている証明資料を改めて提出し直すことが重要です。
以上の内容を踏まえて、この記事でお伝えしたいことをまとめます。
<まとめ>
永住申請中の転職は、一般的には出来るだけ避けることが賢明です。ただ、ご本人のステップアップなど、どうしても転職しなければならない場合は、このブログで説明したような正しい手順をふみ、プラスになる要素は書類でしっかりとアピールしていくことが重要です。


