永住申請 新卒1年目の「年収」と学生時代の「年金」猶予について
日本で働き始めて数年が経ち、「そろそろ永住権を」と考える際に、多くの方が直面するのが「過去5年分の実績」という壁です。(永住申請については、『「永住者」の在留資格について(2026年最新)』の記事で詳しくご説明しています。)
特に、働き始めた新卒1年目は年収が低かったり、学生時代の年金手続きがどう影響するのか分からなかったりと、不安になる方もいらっしゃるかと思います。
今回は、「新卒時の年収不足」や「学生納付特例」がある場合の考え方について以下の4つの項目で解説します。
- 「年収300万円」の目安と新卒1年目の扱い
- 学生時代の「学生納付特例」について
- 結婚による世帯年収の変化もプラス材料
- まとめ
まず、永住申請において新卒1年目の年収の現状と安定収入をどう判断するかについてご説明します。
<「年収300万円」の目安と新卒1年目の扱い>
永住申請では、一般的に「直近5年間で年収300万円以上」が安定性の目安とされています。しかし、新卒1年目は入社月が4月であるため12ヶ月分の給与が揃わなかったり、初任給が低めに設定されていたりして、300万円に届かないケースが非常に多いです。
[1年目だけ年収が低い場合について]
結論から言えば、「1年目だけが低い」という理由だけで即不許可になるとは限りません。
2年目以降、現在にかけて年収が右肩上がりで安定しており、最新の年収がしっかりと基準を超えているのであれば、1年目の不足分は「新入社員としての一般的な推移」として説明が可能です。
当時の雇用契約の内容や、会社側の昇給実績などをあわせて丁寧に説明することで、継続的な安定性を認めてもらえる可能性は十分にあります。
[市区町村で証明書が5年分出ない場合]
自治体によっては、課税・納税証明書が直近5年分遡れないことがあります。その場合は、発行できない理由を記した「上申書」を添えた上で、手元にある源泉徴収票などで補完します。審査期間中に最新年度の証明書が出たタイミングで追記提出(追完)するなど、誠実な対応がポイントです。
次に学生時代に年金の支払い猶予のシステムを利用していた場合の考え方と永住申請をするにあたっての対応についてご説明します。
<学生時代の「学生納付特例」について>
学生時代に「学生納付特例」を利用して年金の支払いを猶予してもらっていた場合、これは法律に基づいた正当な手続きですので、特例を受けていたこと自体がマイナス評価になることはありません。
[遡って支払う(追納)べきか?]
卒業して就職した後は、厚生年金に加入してしっかり納めていることが大前提ですが、学生時代の猶予分についても、「支払える範囲で遡って支払っておく(追納する)」のが最も安心です。(帰化を例にしておりますが、『【2026年最新】帰化申請と年金免除。「追納」の重要性』の記事で追納の重要性についてご説明していますので、参考にしてください)
入管の審査では「公的義務をどれだけ誠実に果たしているか」が厳しく見られます。追納は10年前の分まで遡ることが可能です。「義務だから最低限やる」という姿勢よりも、「将来のためにしっかり納めている」という実績がある方が、審査官への印象は良くなります。申請直前に慌てて10年分まとめて払うよりも、就職後からコツコツと追納していた実績がある方が、より計画的な誠実さをアピールできます。
他にも永住申請で以下の場合に安定収入をアピールできることがあります。
<結婚による世帯年収の変化もプラス材料>
最近結婚された方の場合は、ご自身の年収だけでなく、配偶者の年収もあわせた「世帯全体の経済力」をアピールすることも有効です。共働きで世帯年収が底上げされれば、日本での生活基盤がより強固であると判断されやすくなります。(世帯年収について『永住申請の年収の壁。世帯収入と申請タイミングの判断基準』の記事で詳しくご説明しています)
<まとめ>
永住申請の審査は、年収の単なる数字の足し算ではありません。
- なぜ1年目の年収が低かったのか?
- その後、どのように安定して推移しているか?
- 年金や税金の義務をどう捉えて行動しているか?
それぞれの理由や背景などを書類でしっかりと丁寧に説明することが許可への近道となります。安定した収入と年金や税金の支払いへの説得力を持たせるためにも、これまでの実績を整理してみることをお勧めします。


