就労ビザ(技人国)での現場労働について
色々なビザ(在留資格)は、外国人の方がそれぞれ決められた範囲で日本で活動するために必要なものですが、就労ビザである「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」は、あくまで専門的・技術的なデスクワークを行うためのビザです。(「技術・人文知識・国際業務ビザについては、『就労ビザ【技術・人文知識・国際業務】』の記事で詳しくご説明しています)
しかし、人手不足が深刻な業界では「通訳や事務として採用した外国人に、少し現場の仕事も手伝ってもらおう」と考える企業様が少なくありません。
このブログでは、最近特に審査が厳しくなっている技人国ビザにおける現場作業のルールと、通訳としてビザを更新する際の注意点について4つの項目で詳しく説明していきます。
- 「通訳」メインなら、現場作業もしていいのか?
- 通訳として認められる「業務量」の条件とは
- 最近の審査の厳格化について
- まとめ
まず最初に業務内の兼務に対する条件についてご説明します。
<「通訳」メインなら、現場作業もしていいのか?>
例えば清掃業などで働く外国人の方が、「業務は通訳兼、書類作成兼、現場での清掃作業」といった業務内容になってしまっている場合で、会社側も「少しでも通訳や事務をしているなら大丈夫だろう」と誤解されているケースが非常に多いです。
では、ビザの更新に向けて「通訳がメインとなるように業務の割合を調整すれば、清掃作業もしてよい」のでしょうか。結論から言うと、原則として清掃業務などの単純労働(現場作業)をしてはいけません。
技人国ビザは、あくまで「通訳」などの専門業務をフルタイムで行うという条件で許可されています。業務の都合上、突発的に少しだけ手伝う程度であれば大目に見られることもありますが、日常的な業務として現場の清掃作業を兼任することは、例えそれが時間的に短かったとしても、明確なルール違反となります。
特に近年、入管の審査は偽装の技人国ビザ(デスクワークで申請して、実際は現場労働をさせているケース)に対して非常に厳しくなっています。「現場に出る割合を減らせばいい」という認識のままでは、次回のビザ更新時に不許可になってしまう可能性が極めて高いです。
【よくある現場作業のルール違反(NG)例】 技人国(通訳や事務など)で許可を取っているにもかかわらず、以下のような業務をルーティンで日常的に行わせることは明確なルール違反(資格外活動)となります。
- 🚨 NG:飲食店やホテルでの「接客・配膳」 (※「外国人客の通訳」という名目でも、実態が通常のホールスタッフと同じ接客であればアウトです)
- 🚨 NG:工場での「ライン作業・梱包・検品」
- 🚨 NG:宿泊施設での「客室清掃・ベッドメイク」
- 🚨 NG:建設現場や農作業での「単純肉体労働」
では、業務量としてはどのように考えればよいでしょうか。
<通訳として認められる「業務量」の条件とは>
現場作業を完全にやめ、「通訳」一本でビザを更新しようと考えた場合、次に問題になるのが「本当に1日8時間、週5日、通訳の仕事だけがあるのか?」という業務量の証明です。
- 💡外国人の従業員は何人いればいい?
「何人の外国人が勤務していれば、通訳としての業務量が認められるか」という明確な人数の決まり(法律上の数字)はありません。入管は、その会社において「当該申請人がフルタイムで通訳をするだけの業務量が客観的に見て適当かどうか」を個別に具体的に判断します。
例えば、会社にいる外国人従業員が「申請人以外に1名しかいない」という状況であればどうでしょうか。常識的に考えて、1名の外国人のために専属の通訳が1日中つきっきりになる状況は不自然です。入管の審査官からも「通訳の仕事なんてそんなにないはずだ。本当は現場作業をやっているのではないか?」と強く疑われることになります。 - 💡将来の計画だけでは不十分
「今後、特定技能の外国人を増やして通訳の業務を増やす予定だ」と説明される企業様もいらっしゃいます。もちろん今後の事業計画も大切ですが、ビザの更新審査では「現在、実際にどのような業務を行っているか」というこれまでの実績が一番に見られます。現時点で通訳の仕事がほとんどない状態では、更新のハードルは非常に高くなります
さらに最近の審査の厳格化の影響はどうなっているでしょうか。
<最近の審査の厳格化について>
先ほども少し触れましたが、昨今の入管行政では、本来のビザの目的とは異なる就労(資格外活動)への取り締まりが、かつてないほど厳しくなっています。
以前であれば「小さな会社だから色々な業務を兼任するのは仕方ない」と多めに見られていたようなケースでも、現在では「専門性がない現場作業業務(清掃や工場でのライン作業、ホールでの接客など)が少しでも含まれているなら更新は認めない」という厳しい判断が下されることが増えています。更新時に提出する書類の整合性や、場合によっては実態調査などによって、実際の働き方が厳格にチェックされる時代になっています。
以上の内容を踏まえて、この記事でお伝えしたいことをまとめます。
<まとめ>
就労ビザの更新は、単に書類を出せば通るというものではありません。特に「技人国」ビザにおいては、許可された専門業務(通訳などの頭脳労働)と、実際に行っている業務が完全に一致していることが大前提です。
「会社から言われた通りに働いていたら、いつの間にかビザの条件を違反していた」「更新の時期になって初めて、自分の業務内容がマズいことに気づいた」という外国人の方はすぐに何らかの対応をする必要があります。
また、企業側も悪気がなく法律違反をさせてしまっているケースがありますので注意が必要です。


