「企業内転勤」ビザの条件、「技人国」ビザの条件どちらも満たしている場合の申請ビザの選択について
海外の拠点から日本法人のオフィスへ優秀な社員を呼び寄せる際、候補に挙がるのが「企業内転勤」や「技術・人文知識・国際業務(技人国)」という在留資格(ビザ)です。(企業内転勤については『就労ビザ【企業内転勤】』、技術・人文知識・国際業務(技人国)については、『就労ビザ【技術・人文知識・国際業務】』の記事でそれぞれ詳しくご説明しています)
特に「企業内転勤」を検討する場合、日本側の会社と海外の会社が、法律上の「親子会社」や「関連会社」といった一定の関係にあることが絶対条件となります。しかし、会社の体制によっては「株主の構成が少し複雑で、入管に認めてもらえるか不安」というケースも少なくありません。
今回は、「企業内転勤」における会社間のつながりの証明方法と、「技人国」ビザとの違いや選び方の基準について以下の3つの項目で解説します。
- 「企業内転勤」で認められる会社関係とは?(株主構成の注意点)
- 「企業内転勤」と「技人国」ビザの選び方の基準
- まとめ
まず、「企業内転勤」ビザ取得を満たす会社の条件のご説明から始めます。
<「企業内転勤」で認められる会社関係とは?(株主構成の注意点)>
企業内転勤ビザの基本は、親会社と子会社、あるいはグループ会社間での異動であることです。一般的には、「海外法人が日本法人の株式を〇%保有している」といったダイレクトな資本関係を示すことでこれを証明します。
[法人ではなく「個人(役員)」が株主の場合はどうなる?]
では、日本法人の主要株主が、海外の「法人そのもの」ではなく、その親会社の「株主であり取締役でもある個人」である場合はどうでしょうか。直接の法人同士の資本関係が見えにくいため、要件を満たさないのではないかと心配になるポイントです。
結論から申し上げますと、「関連会社」などの枠組みとして入管に認めてもらえる余地は十分にあります。
入管が審査において会社同士の関係性を判断する際、単に「会社法」の厳密な定義だけでなく、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表規則第8条)」などの基準もあわせて総合的にチェックしています。
実質的に同じ経営権の支配下にあることや、人的・資本的に緊密な結びつきがあることが書類で客観的に証明できれば、ストレートな親子会社でなくても「同一のグループ企業間の転勤」として受け入れられるケースは多いです。
選び方は条件によりますので、それをご説明いたします。
<「企業内転勤」と「技人国」ビザの選び方の基準>
「企業内転勤」と「技人国」ビザ両方の条件を満たしている場合、どちらのビザを申請するべきかは、「申請人(社員)の経歴」をベースに考えるのが定石です。
[まずは「技人国」を検討する]
申請人が「大学卒業以上の学歴」や「関連する一定の実務経験」を持っている場合、基本的には「技人国」での申請を第一候補にします。なぜなら、技人国であれば将来的な転職や柔軟なキャリア形成がしやすく、本人の在留資格としての利便性が高いためです。
[学歴要件が足りない場合に「企業内転勤」を検討する]
もし申請人に大卒などの学歴がなく、技人国の要件を満たせない場合であっても、「海外の本社やグループ会社で直近1年以上、継続して勤務している」という実績があれば、「企業内転勤」のビザを狙うことができます。
つまり、企業内転勤は「学歴等の理由で技人国が難しいけれど、自社グループ内での確かな勤務実績がある優秀な社員」を呼び寄せるための選択肢として捉えるのがスムーズです。
| 比較項目 | 企業内転勤ビザ | 技術・人文知識・国際業務 (技人国) |
|---|---|---|
| 学歴・職歴要件 | 不要(一定の基準あり) | 必須(大卒、または10年以上の職歴など) |
| 海外拠点での勤務実績 | 必須(直近1年以上の継続勤務) | 不要(新規採用も可能) |
| 転職の自由度 | 不可 | 可能(同じ職種であれば他社への転職も可) |
以上の内容を踏まえて、この記事でお伝えしたいことをまとめます。
<まとめ>
海外法人との資本関係が複雑なケースや、どちらのビザで申請を進めるべきかの判断は、入管の審査基準(財務諸表規則などの専門的な視点)を深く理解していないと適切な判断ができませんので、しっかりと調べてから準備を進めていくことが必要です。判断に迷うことがございましたら専門家である私ども行政書士にぜひご相談ください。


