在日韓国人の帰化申請で本国での出生申告が無かった場合の対応について
特別永住者(在日韓国・朝鮮人)の方が日本国籍を取得するための「帰化申請」において、ポイントとなるのが本国(韓国)からの公的な身分証明書の収集です。
領事館へ出向いてご自身の証明書(基本証明書や家族関係証明書など)を請求したところ、「ご両親の書類は出たが、あなた自身の出生申告が韓国側にされていないため、書類が発行できない。このまま帰化を進めると後で苦労するので、今からでも出生申告をした方がいい」とアドバイスを受けるケースがあります。
今回は、このように本国の登録簿に名前が載っていない(未申告の)状態で帰化申請を進めるべきか、そして領事館の言う「後の苦労」とは何なのかについて、実務上の対応方法を以下の4つの項目で詳しく解説します。
- 韓国の領事館から「出生申告がされていない」と言われたら
- 出生申告はしてから帰化申請すべきか?
- 領事館が言う「後で苦労する」とはどういう意味か?
- まとめ
<韓国の領事館から「出生申告がされていない」と言われたら>
在日コリアンの方々の中には、日本での出生届は自治体(市役所など)に出しているものの、当時の様々な事情から、本国(韓国)側への出生申告が行われていないケースが少なからず存在します。
外国人登録原票などの記載が「朝鮮」となっている場合など、これまで「本国の書類が出ないなら、日本の書類(記載事項証明書など)だけで申請して許可をもらったケースがある」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ご両親のどちらかが韓国籍であり、韓国側の登録簿(家族関係登録簿や古い除籍謄本)が存在しているのであれば、原則として申請人ご本人も韓国籍を有していることになります。
上記のような状況で帰化申請をする場合、どのように手続きするのがよいでしょうか。以下でご説明します。
<出生申告はしてから帰化申請すべきか?>
結論から申し上げますと、💡帰化申請を行う前に、韓国領事館を通じてご自身の「出生申告」をきちんと行い、本国の登録簿にご自身の名前を載せてから申請を進めることをおすすめします。
出生申告を行うことで、帰化申請において法務局から求められる「基本証明書」や「家族関係証明書」といった必須書類がご自身の名義で正常に発行されるようになります。本国の公的な証明書が揃っている状態であれば、身分関係(父母は誰か、いつ生まれたかなど)の証明が極めてスムーズになり、審査の進行も格段に安定します。
では、「出生申告」を行わず帰化申請をした場合、どうなっていくと考えられるのでしょうか。以下でご説明します。
<領事館が言う「後で苦労する」とはどういう意味か?>
領事館の担当者が「このまま帰化されると後で苦労する」と懸念を示したのは、まさに「帰化手続きの審査過程における、法務局での立証の困難さ」を危惧してのことです。
帰化申請は、国籍を付与する国(日本)にとって非常に厳格な審査が行われます。本来あるはずの本国書類(家族関係の証明)を「未申告だから出せません」で済ませようとすると、法務局の担当官からは「なぜ申告しないのか」「本国の書類がないのであれば、他のあらゆる客観的資料をかき集めて、血縁関係や身分関係をあなた自身で完全に証明してください」と、非常に重い立証責任と追加書類を求められることになり、結果として途方もない時間と労力がかかることに繋がります。
これが、「苦労する」ことの正体です。急がば回れで、まずは本国での身分登録を整理することが、確実な帰化への一番の近道となります。
以上の内容を踏まえてこの記事でお伝えしたいことをまとめます。
<まとめ>
特別永住者の方の帰化申請は、日本の法律だけでなく、本国の国籍法や戸籍制度(家族関係登録法)の複雑な歴史的背景が絡むため、ご自身だけで書類を完備させるのは非常に骨の折れる作業です。
💡「書類が出ない」「申告漏れがある」といったイレギュラーな事態に直面した際は、自己判断で無理に進めず、専門家のサポートを受けることをお勧めします。


