帰化申請と「免除」されていた年金・保険料について
帰化を考えている外国人の方から、「学生時代に年金を免除してもらっていたのですが、これは申請に影響しますか?」というご相談をよくいただきます。
色々なビザ(在留資格)は、外国人の方がそのままの国籍で日本で活動するために必要なものですが、帰化をしますと日本人になる(=日本国籍を取得する)ことになります。日本人になるための審査では、これまでの日本での生活態度が厳しくチェックされます。特に帰化申請は3月27日に条件の厳格化が発表されたばかりです。(発表内容については『帰化申請の厳格化(2026年3月27日発表)』の記事で詳しくご説明しています)
例えば学生時代、国民年金は「学生納付特例」で免除、健康保険は「コロナ特例」で免除を受けていたような場合、これらは、帰化申請前にさかのぼって払う(追納する)必要があるのでしょうか?
今回は、最近増えている「社会保険料の免除」がある場合の考え方について、解説していきます。
- 帰化するための条件と「素行条件」
- 法務局(管轄)によって対応が分かれる
<帰化するための条件と「素行条件」>
帰化するためには大きく分けて7つの条件が必要になります。その中の一つに「素行条件」というものがあります。
これは、簡単に言うと「法律やルールを守り、まじめに暮らしているか」という条件です。最近の審査では、特に「年金や健康保険をしっかり払っているか」という部分が、以前よりもずっと厳しく見られるようになっています。
以前は「直近1年分を払っていれば大丈夫」と言われたこともありましたが、2026年4月1日からは直近2年に支払い状況を確認されることになりました。支払っていることはもちろん、支払いが遅れていないか、も重要な条件になってきています。
「免除」は「未納」ではありません。学生納付特例やコロナ特例による免除は、法律で認められた正当な手続きです。ですので、これがあるからといって、すぐに「ルール違反(素行が悪い)」とみなされるわけではありません。申請時に支払い状況を確認されるのは直近2年分ですので、これらの「免除」が発生しているのは、それよりも前の話になるかと思います。
法的には免除された分を払う義務はありません。しかし、実務上(法務局での実際の審査)では、少し注意が必要です。なぜなら、帰化は『日本の一員になりたい』という意思を示す手続きです。法務局の担当官から「日本人になるのであれば、これまでの分もきっちり払ってからにしましょう」と言われることが多いです。審査官からの指摘は『日本人になる覚悟を支払いという形で見せてください』というメッセージでもあります。ここで拒否することは、自らチャンスを捨ててしまうことになりかねません。
<法務局(管轄)によって対応が分かれる>
実は、この「免除分をいつ払うか」については、申請する場所(管轄の法務局)によって判断がまちまちです。以下は当事務所近隣地域の一例です。
| 支払いのタイミング | 各法務局での対応 | |
|---|---|---|
| 横浜などの法務局 | 最初の相談時 | 「免除されている分を全て払ってから申請に来てください」と、入り口で言われることがある。 |
| 東京や埼玉の法務局 | 申請受理後の審査中 | 申請は受け付けてもらえるが、途中で審査官から「免除分を追納してください」と指示が来ることがある。 |
いずれにしても、もし審査官から「払ってください」と言われたら、その時に一括で支払う必要があります。法律に認められた手続きにより「免除」となっていた分ですので支払う法的な義務はありませんが、帰化申請は法務大臣の裁量で決まります。支払い拒否は、申請者の「素行条件」判断に大きな悪影響を与えますので、審査官からこのように言われた場合は素直に支払うようにしましょう。
そのため、以下の準備をしておくと安心です。
審査官から言われて一括で支払うのは、金銭的にもなかなか厳しい状況になるかと思いますので、帰化申請をしようと思ったタイミングで、分割でコツコツと支払っておくのをお勧めします。東京であれば帰化申請の初回相談は、その予約だけで半年程度かかりますので、その間にコツコツと支払っておくのです。初回相談、二回目相談、申請受付と、帰化申請には1年半以上の時間がかかることが多いので、その時間があれば「免除分」は全て支払い完了できるかもしれません。
また、「いつでも払えるお金」を用意しておくというのも良いです。 数年分の免除額を合わせると、数十万円になることもありますので、指示があったらすぐに払えるように準備しておきましょう。
年金の追納には「原則2年以内」といった期限があります。ご自身で判断して間違った手続きをする前に、まずは年金事務所に確認することをお勧めします。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html
国民年金機構 国民年金保険料の追納制度


