日本人の結婚相手と別居してしまった場合のビザについて
日本人と結婚して「日本人の配偶者等」のビザを取得した方が、色々な理由からその日本人と別居してしまった場合、日本人の配偶者等のビザはどうなってしまうのでしょうか。別居状態でビザの期限がきた場合、どのような内容でビザの更新をすれば良いのでしょうか。いわゆる「日配(にっぱい)」ビザをお持ちの方にとって、配偶者との別居は在留資格の根幹を揺るがす重大な事態です。今回は、別居状態にある方の在留資格を維持、あるいは変更について、以下の3つの項目で詳しく解説していきます。
- 別居してしまった場合のビザ更新のハードル
- 「定住者(離婚定住)」への変更申請の為の条件
- 「日本人の配偶者等」在留資格を変更するか維持するかについて
まずは、別居の場合にビザ更新する際の難しさについてご説明します。
<別居してしまった場合のビザ更新のハードル>
まず前提として、入管(出入国在留管理庁)は「日本人の配偶者等」のビザについて、「同居し、互いに協力し、扶助し合って共同生活を営んでいること」を強く求めています。(国際結婚、日本人の配偶者等のビザについては、『国際結婚のビザ・在留資格(日本人の配偶者等』の記事で詳しくご説明しています。)別居は、特に長期間になりますと、婚姻関係が破綻していると判断されやすく、単純な更新申請では不許可になるリスクが高いのが現実です。しかし、以下の要素を立証できれば、更新の可能性を繋ぎ止めることができます。
- 関係修復の努力: 別居中も復縁を望み、連絡を取り合っていたか。
- 経済的扶助: 配偶者へ生活費を送り続けていたか。
例えば銀行振込の履歴や、お互いの家計を支え合っている証拠を示せるか。 - 子供の存在: 子供を自分の扶養に入れ、親としての責任を果たしているか。
もし、どうしても関係修復が不可能で離婚を決意されている場合は、次のステップである「定住者(離婚定住)」へのビザ変更を検討することになります。
では、「定住者」ビザへ変更するには、どのようなことが必要となるかを次にご説明します。
<「定住者(離婚定住)」への変更申請の為の条件>
日本人と離婚した後も日本に残るための在留資格を、実務上「離婚定住」と呼びます。結婚期間が長く、日本に生活基盤がある場合は、以下の3つの条件がポイントになります。
- 婚姻期間の「実体」
一般的に、概ね3年以上の正常な婚姻生活があれば検討の土台に乗ります。 - 経済力と公的義務の履行
日本で独立して生計を立てられる収入があるか、税金や年金を適正に納めているかがチェックされます。会社員として給与天引きで納税しており、別居中も家族を養っているような実績があった場合、プラス材料になります。 - 日本に在留し続けなければならない「特別な事情」
なぜ母国に帰らず日本に居る必要があるのかを丁寧に説明する必要があります。例えば、「子供の親権を持ち、日本で育てていく」「日本で長年キャリアを築き、生活の全てがここにある」といった個別の事情です。説得力のある文書にまとめ、入管を納得させなければなりません。
これからどうしてきたいのかの選択によって、ビザを更新するか変更するかが変わってきます。そのことについてケースごとにご説明します。
<「日本人の配偶者等」在留資格を変更するか維持するかについて>
[「日本人の配偶者等」⇒「定住者」へ変更する場合]
速やかに離婚手続きを完了させ、現在のビザから「定住者」への変更申請を行います。
もしお子様の親権を本人が持つ場合、「実子扶養定住」としての側面も加わるため、許可の可能性はさらに高まります。ただし、日本人配偶者に代わる「新たな身元保証人」を見つける必要があります。
[「日本人の配偶者等」を維持する場合]
まだ離婚する予定も意思もなく、何とか関係を修復させようとしている場合です。
オーバーステイは絶対にあってはなりません。別居をしていても離婚をしなかったという事実は「関係修復に努めている」ということにもなります。その他、別居はしているが、生活費などを払っているのであれば、関係修復に努めていることを入管に説明しやすくなります。このような各種説明をして、現行のビザを更新します。この場合、別居中であっても奥様に「身元保証人」を継続してもらう交渉が必要になるため、関係が悪化している中での交渉はご本人だけでは難しいケースも多く、非常に繊細な対応が求められます。
上記どちらの場合でも、なぜ日本で生活し続ける必要があるのか、の説明がとても重要になります。仕事、生活基盤、子供、母国の状況など、今後も日本で生活していく必要性、意思を丁寧に説明して、入管に理解をしてもらうのがとても重要です。
また、最近は入管の審査がさらに厳しくなっています。別居から半年以上が経過し、正当な理由がないとみなされると、ビザの取消対象になるリスクもあるため、早めの対処が不可欠です。(ビザの取消については、『2025年に過去最多となった「在留資格の取消」とは』の記事で詳しくご説明しています)


