産休などで母国へ一時帰国中のビザ更新について
日本で「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持って活躍されている外国人社員の方が、妊娠・出産を機に産前産後休業(産休)や育児休業(育休)を取得し、実家のある母国へ一時帰国して出産を迎えられるケースはよくあります。
おめでたい出来事である一方、その休業・帰国期間中にビザ(在留期間)の更新タイミングが重なってしまうと、手続き上で思わぬトラブルに直面することがあります。
今回は、産休中で会社からの給与が出ていない場合のビザ更新のポイントや、実務上で絶対に気をつけなければならない「住民税の未納」と「申請する場所(タイミング)」のルールについて以下の4つの項目で詳しく解説します。
- 産休・育休中(無給状態)でもビザの更新はできるのか?
- 住民税の未納について
- 母国にいる最中は日本で更新申請ができません
- まとめ
まず最初に、産休・育休中のビザ更新をどう考えておけばよいのでしょうか。
<産休・育休中(無給状態)でもビザの更新はできるのか?>
産休・育休中は会社からのお給料がストップし、代わりに健康保険組合から「出産手当金」や、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるのが一般的です。
「お給料が出ていない無給の状態でも、就労ビザの更新は認められるのだろうか」と不安に思われるかもしれませんが、結論から申し上げますと、💡産休・育休中であることを理由にビザの更新が拒否されることはありません。
休業が明けた後に会社へ復職する予定(雇用関係の継続)がしっかりあるのであれば、問題なく更新許可を受けることができます。
申請の際には、通常の更新書類に加えて以下のものを準備するとスムーズです。
- 📝会社が発行する「産休・育休の取得承認書」や「復職予定日が分かる証明書」
- 📝休業に至る経緯と今後の復職計画を説明した「理由書」
- 📝出産手当金などの受給が分かる資料
ここから産休・育休中のビザ更新での注意点についてご説明します。
<住民税の未納について>
⚠️産休中の更新実務において、気を付ける必要があるのが住民税の未納です。
普段日本で働いているときは、毎月のお給料から住民税が天引き(特別徴収)されていますが、産休に入って給与がゼロになると天引きができなくなります。すると、自分で納付書を使って税金を払う方法(普通徴収)に切り替わるのですが、本人が母国へ帰国してしまっているために自宅のポストに届いた納付書に気づかず、悪気なく未納・滞納の状態になってしまうケースがあります。
ビザの更新審査では、税金をきちんと払っているかが厳しくチェックされます。役所で発行した課税・納税証明書に未納額が記載されたまま入管へ書類を提出してしまうと、それが原因で不許可になるリスクが高くなってしまいます。
もし未納があることが判明した場合は、決してそのまま申請を出してはいけません。
日本にいるご家族や会社の担当者等に協力してもらい、まず申請前に住民税の未納分を全額完済しましょう。その後、役所で「未納額が0円」になっている最新の納税証明書を取得し、その書類を使用して申請をします。
重要な注意点がもう1点あります。以下でご説明します。
<母国にいる最中は日本で更新申請ができません>
もう一つ、スケジュール管理で絶対に忘れてはならない重要なルールがあります。それは、⚠️「申請人本人が日本に滞在(在留)している間でなければ、ビザの更新申請はできない」という点です。
母国で産休を過ごしている最中に、「ビザの期限が迫ってきたから、日本の会社や代理人の行政書士に頼んで入管へ更新書類を出してもらおう」と考える方がいらっしゃいますが、これは法律上認められていません。更新申請(在留期間更新許可申請)は、本人が日本国内にいる状態で窓口へ申請(またはオンライン申請)を行うのが大前提となっているからです。
したがって、母国で産休を取られる方は、以下のいずれかの対応をとる必要があります。
- 🪪ビザの期限が切れる前に一度日本へ戻り、日本にいる間に更新の手続きを行う。
- 🪪休業に入る前(渡航前)、ビザの在留期限の3ヶ月前を迎えているのであれば、日本を出国する前にあらかじめ更新申請を済ませておく。
⚠️これをうっかり忘れて母国に滞在したままビザの有効期限を1日でも過ぎてしまうと、ビザは失効し、またゼロから「認定証明書(COE)」を申請し直さなければならなくなります。復職のスケジュールにも大幅な遅れが生じるため、最大の注意が必要です。
以上の内容を踏まえて、この記事でお伝えしたいことをまとめます。
<まとめ>
産休や育休中のビザ更新は、社会保険制度や税金の仕組み、そして入出国のスケジュールが関係します。本人に全く悪気がなくても、「税金の通知書に気づけなかった」「帰国中にビザの期限が来てしまった」というちょっとした行き違いが、大切なビザに大きな影響を及ぼしてしまうことがありますので、十分注意してください。


