日本に支店等が無い海外法人の社員を研修などで働かせる場合のビザはどうすればいいのか?
「90日以内の出張なら、就労ビザなし(短期滞在)で作業させても大丈夫ですか?」という声をお聞きすることがありますが、結論から申し上げて、たとえ短期間であっても、日本国内の現場で報酬を伴う労働(研修含む)を行う場合は、短期滞在ビザでは不法就労になるリスクがあります。
日本支店があるとして、海外法人の社員をその法人の日本支店などで研修として働かせる場合、その日本支店との雇用契約を結び、「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」などの就労ビザを取得すれば可能ですが、研修とはいえ、別途報酬が発生する場合、それは就労活動になりますので、いわゆる「短期滞在」のビザではNGとなります。
この記事では、海外法人の社員を(短期間であったとしても)報酬の発生する労働(研修含む)で日本へ呼び寄せる際の注意点や実務的な解決策について、以下の2項目に分けてご説明します。
- 短期滞在(就労ビザなし)でOKの場合、NGの場合
- 日本に支店がない海外法人の社員を報酬の発生する労働(研修含む)で日本に呼び寄せる際の注意点・解決策3点
まずは、短期滞在(就労ビザなし)での活動がOKな場合とNGな場合からご説明します。
<短期滞在(就労ビザなし)でOKの場合、NGの場合>
[短期滞在(就労ビザなし)でOKの場合]
- 日本での「労働」のみを区別して給料が出ない
単に日本での商談や会議など、出張のような形で日本で活動を行う場合は、その日本での活動のみを区別して給料が出るわけではありませんので、短期滞在ビザでの活動が可能です。
[短期滞在(就労ビザなし)ではNGの場合]
- 日本国内で「労働」が発生し、その「労働」について区別して給料が出る
日本での活動についてのみ報酬が発生しているとみなされる場合、(短期間であったとしても)原則として就労可能な在留資格(ビザ)が必要になります。
次に日本に支店がない海外法人の社員を報酬の発生する労働(研修含む)で日本に呼び寄せるにはどうすればいいのかについてご説明します。
<日本に支店がない海外法人の社員を報酬の発生する労働(研修含む)で日本に呼び寄せる際の注意点・解決策3点>
「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを申請する際には、労働者と日本国内での受入機関との契約が必要になります。(*「技術・人文・国際業務」ビザについては、就労ビザ【技術・人文知識・国際業務】の記事で詳しくご説明しています)
「企業内転勤」の就労ビザの場合は、海外法人の支店や事業所などが日本にあり、そこで労働する必要があります。(*「企業内転勤」ビザについては、就労ビザ【企業内転勤】の記事で詳しくご説明しています)
本題の日本に支店や事業所が無いような状況下で海外法人の社員を日本で研修として労働させるには以下の3つの方法が考えられます。
- 日本の受入機関による直接雇用
もっとも確実なのは、研修の現場となる日本の機関がその社員を直接雇用し、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを取得する方法です。ただし、給与支払い義務や社会保険の手続きが発生するため、受入側の協力が不可欠です。
- 企業単独型「技能実習」の活用
通常、技能実習は団体監理型が多いですが、一定の取引実績がある企業間であれば「企業単独型」として受け入れられる可能性があります。資本関係がなくても、密接な業務上の関係があれば認められるケースがあるため、個別の事前相談が重要です。
- 特定技能(短期間)の検討
職種が「特定技能」の分野(建設、製造など)に該当すれば、短期間(4ヶ月など)の在留資格取得も選択肢に入ります。
これらのように、日本に支社や事業所のない海外法人の社員が日本で研修といえども報酬を得て働く場合については、安易に「短期滞在」とせず、きちんと対応した在留資格を検討するように注意が必要です。


