短期滞在ビザでの来日中に家族滞在ビザへの変更が可能か
日本で働く外国人の方にとって、母国に残してきた配偶者や子供と一緒に暮らすことは、日本での生活を安定させるために大切なことだと思います。
通常、海外から家族を呼び寄せるには、まず日本で「在留資格認定証明書(COE)」を取得し、それを現地の日本大使館に送ってビザを発給してもらうという手順を踏みます。
しかし、「COEの審査を待っている数ヶ月間がもどかしい」「一日でも早く日本での生活に慣れてほしい」という思いから、まずは「短期滞在(観光など)のビザで先に来日し、日本にいる間に家族滞在ビザへ切り替えたい」ということを希望される方もいらっしゃるかと思います。(家族滞在のビザについては、『「家族滞在」の在留資格』の記事で詳しくご説明しています。)日本に呼び寄せたいご家族が短期滞在ビザの免除国の方の場合、この流れであれば大変スムーズに進めることが出来ます。
この「短期滞在からの家族滞在変更」は、実務上可能なのか?どのようなリスクがあるのか?今回は、最新の入管(出入国在留管理局)の運用状況を踏まえて、以下の5つの項目で詳しく解説していきます。
- 原則と例外:「短期滞在」からの変更ルール
- 理想的な手続きのスケジュール(モデルケース)
- 知っておきたい「審査期間」の壁とリスク
- 「理由書」について
- まとめ
最初にルールのご説明します。この方法を選択するか判断するためにも、本来のルールを知っておくことが肝要です。
<原則と例外:「短期滞在」からの変更ルール>
まず、入管法における基本的なルールのご説明をします。
原則として、「短期滞在」から他の在留資格(家族滞在や就労ビザなど)への変更申請は認められていません。 短期滞在はあくまで「一時的な訪問」を目的とした資格であるため、本来であれば一度本国に帰り、正規のルートでビザを取り直して再入国するのがルールです。
しかし、入管法には「やむを得ない特別の事情に基づく正当な理由がある場合」に限り、例外的に変更を認めるという規定があります。実務の現場において、この「特別な事情」として考慮される可能性があるのが、「すでにCOE(在留資格認定証明書)の交付を受けている」という状況です。
つまり、全くゼロの状態から日本に来て「家族滞在にしてください」と言うのは難しいですが、「正規の呼び寄せ手続きを進めており、既にCOEの交付を受けている状態で、家族が短期滞在で来日した」という形であれば、日本にいながらの変更が認められるケースがあります。
次に手順のご説明をします。
<理想的な手続きのスケジュール(モデルケース)>
「短期滞在からの切り替え」を成功させるためには、緻密なスケジュール管理が重要です。以下に、スムーズに進めるための一つの流れをご紹介します。
- 【海外】 本国での結婚・書類準備
- 【日本】 COE(認定証明書)を申請する
- 【海外】 短期滞在ビザで来日
- 【日本】 来日中にCOE(認定証明書)取得
- 【日本】 速やかに「家族滞在」へ変更申請
以下でスケジュールについての詳細をご説明します。
- 現地での結婚・書類準備
まずは母国で正式な結婚手続きを行い、結婚証明書を取得します。この時、PDFなどで早めに日本へ送ってもらうと、その後の動きがスムーズになります。 - 日本で「COE(認定証明書)」を申請
配偶者がまだ海外にいる間に、日本にいる扶養者(夫や妻)が代理人となり、管轄の入管へ「家族滞在」のCOE申請を済ませます。 - 「短期滞在」ビザの取得と来日
呼び寄せたいご家族が、短期滞在ビザ免除国の方の場合、そのまま日本に来日することができます。免除国ではない場合、現地の日本大使館で「短期滞在」のビザを申請します。その際、最大の滞在日数(国によって違いますが、通常90日)を希望します。ビザ取得には1〜2週間程度かかるのが一般的です。ビザが取れたら、そのまま日本へ入国します。 - 日本に滞在中にCOE(認定証明書)を取得
「短期滞在」ビザで来日中に、タイミングよくCOE(認定証明書)を取得する必要があります。 - 速やかに「家族滞在」へ変更申請
COE(認定証明書)を取得したら、速やかに入管へ向かいます。この時、交付されたCOEを添えて「短期滞在」から「家族滞在」への「在留資格変更許可申請」を行います。これが受理されれば、日本から一歩も出ることなく、そのまま「家族滞在」としての生活を続けることができます。
良い点ばかりのように思えますが、懸念される点もあります。以下でそのご説明をします。
<知っておきたい「審査期間」の壁とリスク>
短期滞在ビザからの変更という流れは非常に効率的なのですが、あくまで例外的な対応ですので、決して必ず許可されるわけではありません。また、リスクとして「入管の審査期間が全く読めない」という点もあります。
現在、東京入管をはじめとする各地の入管では、申請件数の増加に伴い、審査期間が大幅に長期化しています。標準処理期間は「1ヶ月〜3ヶ月」とされていますが、実際には4ヶ月、5ヶ月とかかるケースも珍しくありません。そうしますと、短期滞在ビザの期間中にCOE(認定証明書)が取得できない可能性があります。短期滞在の期限内にCOE(認定証明書)が取得できない場合、残念ながら一度本国へ帰国しなければなりません。短期滞在の延長(更新)は、病気などのよほどの事情がない限り認められないからです。
多くの専門家が「この方法はできない」と回答することがあります。それは、上記のように、これが例外的な対応で、リスクを含んでいるからです。
| ✅メリット | ⚠️注意点(リスク) |
|---|---|
| 日本で一緒に暮らしながら結果を待てる | 短期滞在ビザの期間内に許可が出ないと帰国が必要 |
| 許可されれば、日本から出国せずに済む | 必ず受理される保証はない(例外対応) |
| 生活のセットアップが早く進む | 「短期滞在」ビザで来日中にCOE(認定証明書を取得必要がある |
この方法で成功させるための肝になるかもしれないのが「理由書」です。以下でご説明します。
<「理由書」について>
この流れでの変更申請をする場合、単に必要書類を出すだけでなく、「なぜ先に来日する必要があったのか」「なぜ日本での変更を希望するのか」を記した丁寧な理由書を添付することをお勧めします。例えば、「共働きで忙しく、本国でのビザ発給を待っていると生活のセットアップが遅れてしまう」「幼い子供の世話があり、一刻も早く家族全員での生活をスタートさせたい」といった具体的な事情を説明することで、入管側の「特別な事情」としての理解を得やすくなります。
以上の内容を踏まえてこの記事でお伝えしたいことをまとめます。
<まとめ>
「短期滞在から家族滞在への変更」は、適切な準備とタイミングの見極めがあれば、チャレンジする価値のある方法です。実際に多くの許可事例もあります。しかし、現在の入管の状況などを考えると、必ず変更が許可されるという保証はありません。この方法を選択する際は、一度帰国することになる場合も必ず想定しておきしょう。


