海外での料理店の店長経験で「経営・管理ビザ」は取れるのか?
海外で料理店の店長としての実務経験を持っている方が日本で料理店を経営する場合、またはそのような経歴ある信頼できる外国人にお店の経営を任せたいと考える際、避けて通れないのが在留資格(ビザ)の問題です。入管審査の考え方を正確に理解していないと、何度申請しても許可されないということになりかねません。
今回は、海外の料理店店長の実務経験で店長として「経営・管理」ビザの取得は可能か、について下記の4つの項目に分けて解説します。
- 「経営・管理」ビザに求められるもの
- 入管審査における「海外での料理店の店長」としての経験の扱い
- 「経営・管理」ビザでお店を経営または管理する場合
- 結論・まとめ
まずは、「経営・管理」ビザ取得の際、そもそも入管審査で何が求められるかをご説明します。
<「経営・管理」ビザに求められるもの>
日本の就労ビザ制度での「経営・管理」とは、企業の経営方針の決定、組織運営、高度なマネジメントというレベルの仕事を前提としており、店長などの現場リーダーとしての仕事にはあてはまりません。(詳しくは就労ビザ「経営・管理」の記事をご確認ください。)
次に、入管審査において、「海外の料理店の店主」の経験は、どう判断されるかについてご説明します。
<「海外での料理店の店長」としての経験の扱い>
「海外での料理店店舗の店長」としての経験は、現在の入管の基準では「特定技能」や「技能」の範疇とみなされやすく、「経営・管理」で求められる高度なマネジメント経験としては認められにくいのが実情です。また、「店長兼コック」のように現場作業が含まれている場合、それはそもそも「経営・管理」ではなく「現場労働」と判断される可能性が高くなります。
では「経営・管理」ビザでお店を経営または管理する場合、どんなことが必要になってくるのかをご説明します。
<「経営・管理」ビザでお店を経営または管理する場合>
自ら出資するのではなく「管理者(雇われ店長など)」として申請する場合(「経営・管理」の「管理」)、雇われる方当人に3年以上の管理の実務経験か、管理に関する大学の修士以上か専門職の学位が必要です。
これは、自ら3000万円出資してお店の経営者になる場合(「経営・管理」ビザの「経営」)も同様で、3年以上の経営の実務経験か、経営に関する大学の修士以上か専門職の学位が必要です。「そのような学位は持っていないが、自分は3年の店長経験があるから大丈夫だと考える方もいらっしゃるかと思いますが、入管が求める「経営」「管理」の実務経験レベルは、現場の店長業務(接客や調理を含むお店のマネジメント)とはかなり違いがあります。(詳しくは就労ビザ「経営・管理」の記事をご確認ください。)
また「経営・管理」ビザでは自らがオーナーシェフとして料理を作ることはできませんので、「実際の調理や接客は誰が担当するのか」を合理的、かつ客観的な証拠とともに説明する必要があります。
その他、2025年から「経営・管理」ビザは条件が大変厳しくなりましたので、具体的には以下のようなポイントをチェックしてみてください。
- [チェック項目]
- 内容資本金の出所
- 3000万円以上の資金について、形成過程を証明できるか?
- 職務の分離
- 調理担当(正当な在留資格を持つ方)を別途雇用する計画があるか?
1名以上の常勤の労働者を雇うことは必須です。
- 調理担当(正当な在留資格を持つ方)を別途雇用する計画があるか?
- 日本語のレベル
- 申請者か常勤で働く人の日本語レベルは例えば日本語能力試験(JLPT)N2レベル以上が必要です。
- 事業の継続性
- 具体的な事業計画書があり、それらは公認会計士、中小企業診断士、税理士の確認を得ているか?
- 内容資本金の出所
<結論・まとめ>
以上の観点から、海外での飲食店の店長経験では「経営・管理」ビザの取得は、可能ではありますがかなり困難ですので、現場での実務経験が10年以上ある場合は「技能」の就労ビザ(詳しくは就労ビザ「技能」の記事をご確認ください)、特にそのような経験が無い場合は「特定技能」(詳しくは就労ビザ【特定技能1号】外食業分野、または【特定技能2号】外食業分野の記事をご確認ください)を取得し、日本の料理店など出資者に雇われて働く、というコースが現実的となります。


